- 解約返戻金にかかる税金は?
- 運用益の扱いは?
- 相続税対策として本当に有効なの?
変額保険の税金面での複雑さに頭を悩ませている人は多いです。
本記事では、大手保険代理店で13年間FPとして勤め、2,000世帯以上の相談実績を持つ筆者が、変額保険の税金についてこうした疑問を一挙に解決します。
この記事を読めば解約返戻金や死亡保険金、満期保険金にどんな税金が掛かるのかがわかります。
さらに、生命保険料控除と実践的な相続税対策についても解説しており、この一記事で変額保険の税金の疑問を解消できるので、ぜひ最後までお読みください。
変額保険とは?
変額保険は保険料の一部を投資信託で運用し、その運用実績によって保険金額や解約返戻金が変動する保険です。
- 運用次第で高い運用益を期待できる
- 死亡保障と資産運用を同時に行える
- 運用益への税金の掛かり方が投資信託と違う
これらの特徴を踏まえ、変額保険に関連する税金について詳しく見ていきましょう。
変額保険について基礎から理解したなら、こちらの記事で復習してください。
解約返戻金への税金
解約返戻金にかかる税金は2種類のうちいずれかです。
税金の種類は契約者と受取人の関係性によって決まりますが、
基本的には「一時所得税」、途中で契約者変更があれば「贈与税」になります。
解約返戻金とは?
解約返戻金は、契約者が保険契約を解約・一部解約した際に受け取る金額のことです。
解約返戻金は運用実績によって変動し、元本保証はありません。
税金種類 | 契約者と被保険者 | 受取人 |
---|---|---|
一時所得税 | 本人 | 本人 |
贈与税 | 本人以外 | 本人以外 |
一時所得税と贈与税には控除があるので、控除範囲内であれば非課税です。
ちなみに解約返戻金を「年金受け取り」すると、雑所得税になります。
- 解約時期によって元本割れして損する可能性がある
- 早期解約・減額は解約控除が適用される
- 運用益が出ている場合、受け取る解約返戻金次第で確定申告が必要
現時点の解約返戻金は保険会社に問い合わせるか、マイページから確認できます。
死亡保険金への税金
死亡保険にかかる税金は3種類のうちいずれかです。
税金の種類は契約者と死亡保険金受取人の関係性によって決まります。
死亡保険金とは?
死亡保険金は、被保険者が死亡した際に受取人に支払われます。
変額保険の死亡保険金は運用実績に関係なく最低保証されています。
税金種類 | 契約者と被保険者 | 被保険者 | 受取人 |
---|---|---|---|
相続税 | 本人 | 本人 | 法定相続人 |
一時所得税 | 本人 | 別人 | 本人 |
贈与税 | 本人 | 別人 | 法定相続人以外 |
死亡保険金の各種税金には控除があるので、控除額内であれば非課税です。
ちなみに死亡保険金を「年金受け取り」すると、さらに雑所得税もかかります。
- 指定する受取人によって税金が変わる
- 受取人が複数いても代表者しか請求できない保険会社もある
- 生命保険の相続税非課税枠と相続税の基礎控除枠を超えると相続税の申告が必要
満期保険金への税金
満期保険金にかかる税金は2種類のうちいずれかです。
税金の種類は契約者と満期保険金の受取人の関係性によって決まります。
満期保険金とは?
満期保険金は、保険契約の満期時に受け取れます。
満期保険金は運用実績により元本保証はありません。
税金種類 | 契約者と被保険者 | 受取人 |
---|---|---|
一時所得税 | 本人 | 本人 |
贈与税 | 本人 | 本人以外 |
満期保険金の税金には控除があるので、控除額内であれば非課税です。
ちなみに満期保険金を「年金受け取り」すると、さらに雑所得税もかかります。
- 満期時の運用実績次第では元本割れして損する可能性がある
- 満期時期はずらせないので、株価暴落などが起きても満期保険金を受け取らなければならない
- 受取方法(一時金か年金か)により税金が変わる
相続税対策としての変額保険
- 生命保険の相続税非課税枠を使った相続税対策
- 生前贈与として変額保険の活用
生命保険の相続税非課税枠を使った相続税対策
相続税の基礎控除に加えて、生命保険の相続税非課税枠が使えます。
相続税の基礎控除は3000万 +(600万 × 法定相続人の人数)
相続税の基礎控除は、相続財産から控除される非課税枠のことです。
この控除額は法定相続人の人数により、以下の計算式で決まります。
例1: 法定相続人が1人の場合
- 法定相続人:1人
- 基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 1) = 3,600万円
この場合、相続財産が3,600万円以下であれば相続税は発生しません。
例2: 法定相続人が3人の場合
- 法定相続人:3人
- 基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 3) = 4,800万円
この場合、相続財産が4,800万円以下であれば相続税は発生しません。
もし法定相続人が3人の場合、基礎控除4,800万円に加えて生命保険の相続税非課税枠1,500万円が使えるので、合計6,300万円まで相続税が発生しません。
生前贈与として変額保険の活用
生前贈与として変額保険を活用して相続税対策をする人もいます。
保有資産から保険料を払うので、死亡時の相続財産を減らすことができます。
- 運用リスクがあり、元本割れする可能性がある
- 将来、生前贈与を受けた人が贈与税の申告をしなければいけない可能性がある
- 贈与契約書の作成が必要
- 税理士に相談した方がいい
生命保険料控除について
生命保険料控除は保険料の一部を所得から控除できる制度です。
変額保険は一般生命保険料控除が使えます。
例:年間保険料100,000円の変額保険に加入した場合
年間所得から控除額4万を引けるので、所得税・住民税が節税できます。
他の生命保険に入っている場合、変額保険の保険料と合算して計算しなければいけません。
よくある質問
まとめ
- 解約返戻金、死亡保険金、満期保険金は契約者と受取人の関係によって税金の種類が変わる
- 変額保険は相続税対策に使える
- 変額保険の保険料は生命保険料控除の対象で、所得税・住民税を軽減できる